おっさんの韓国生存記

韓国で住んでいる中年の男です。

NiziU嫌いじゃないけど、21年からは結構厳しいと思う。

 私は、NiziU(ニジュー)ってTWICEと同じなじゃいの?と思っていました。正直言うと、今でもそう思っています。しかし、ツイッターでの反応やデビュー直後のレコ大特別賞、紅白出場等を見ると、どうもいつものKPOPとは違う高い人気度を感じます。ここでは、 NiziUの人気要因をマーケティングの観点からサクッと分析してみようと思います。それでは、参りましょう。

 (ちょっと話はそれますが、NiziUってニジューって読むんでしょうか?私はそれすら知りません。。そして、前提として、NiziUが嫌いというわけではないのであしからず。。)

 

 1. アイドル市場の地図とNiziUのポジショニング

 私はアイドルオタクではありませんが、飽くまで印象としては下記のようなポジションニングになると思います。いわゆるプロ感とアマチュア感、JPOPかKPOPかで分けると下記のようになるのではないかと思うのです。

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 こうやって見ると、NiziUの位置は相対的に微妙だなあと思ってしまいます。要は、KPOPといえばセクシーさとダンスのプロ感が日本のアイドル市場を席巻していたのではないのかと思っていたからで、上記のような位置が差別化にはなっても強みになるのか疑問に思うからです。
 例えば、BLACKPINKのKill this loveを見てください。

 

 これはもうアイドルという領域を超えた芸術の域に達しているのかもしれませんが、こういうのがKPOPの強みであったと思っていましたし、IZ*ONEのAKBグループ出身メンバーである宮脇桜、矢吹奈子、本田仁美もそういう世界への飛び込みを意図していたはずです。

 

2. NiziUは新しくも、魅力的な事業でもない?

  NiziUはTWICEのプロドューサーであるJY.PARKのNiziU projectで結成されたグループですが、今までになかった新しい点というのは①K-POPであるけれども、メンバーが全員日本人であるということ、そして②デビューの過程をストーリー化したという2点だけです。
 逆に言えば、②は既にIZ*ONEをプロドュースしたCJENMでは幾度となく使われてきた手法であるので、①以外に目新しさは感じられません。しかも、踊りを含めての全体的なトーンを見ると、TWICEとの違いが全く感じられないのです。つまり、「マーケティング22の法則」で言われている、「1番手になることは、ベターであることに優る」「1番手になれるカテゴリーを作れ」という面では、①の要因で形式的には満たされているものの、実質的には新しいカテゴリーを作ったとはいえないのではないでしょうか? 

 さらに、JY.PARKの会社JYPがTWICEとNiziUの二つを持つことで、日本市場においてライン拡張を図ったわけですが、やはりマーケティング22の法則では、「ライン拡張ではまず結果を発揮しない」といわれているため、長期的な観点でも、ビギナーズラックに過ぎないのではないかという疑問も出てきてしまいます。

 

3. NiziUの本当の成功要因

 新しくもない、事業的な魅力度に欠ける、日本人メンバーの似非TWICEぐらいにしか正直思えなかったのものですから、ここまでの人気がどうも納得がいかない私でした。しかし、ツイッター等でファンを観察しているとあることに気づいたのです。それはつまり、女性からの圧倒的な支持、そして彼女達のNiziUメンバーへの強い感情移入が感じられたのです。

 上記「マーケティング22の法則」でもマーケティングとは知覚の戦いであり、最も重要なことは市場に入ることではなく、消費者の「心の中」に入ることであるといっています。つまり、2で言及した点は表面上の分析でしかなく、若い世代の女性の「心の中」に入ることに焦点を当てていると考えれば、成功要因は納得できるでしょうか?

 

4. 男性と女性では求めているストーリーが違う

 プリンセス・マーケティングという本があります。そこでは、女性は男性とは違い、英雄ストーリーを求めておらず、ざっくりまとめると下記のようなストーリーに感情移入をして、「購入」してしまうという傾向をもっているとのことです。

①本来はプリンセスである私。今はプリンセスの姿をしていない。
②自分はこんなところにいる人間ではないが自信を持てない。
③あなたは本来こんなところに居るべき人ではないというキーパーソン。
④キーパーソンが私を理解してくれ過去のしがらみを取り払ってくれる。
⑤本来の自分を取り戻して自由な空へ羽ばたこう。

 NiziUのメンバーはデビューの過程ではプロではありませんでした。メンバーが皆、私はステージに立つ人間だと思っていましたが自信がありませんでした。そして、その自信のなさを懸命な努力で克服しようとしました。それを、キーパーソンであるJY.PARKが超絶妙に上記③④の役割をしていくわけです。そしてメンバー達は運命を変えて、これまでとは違う新しい世界へと向かうという流れです。
 そうです。実は、NiziUの人気は、このプリンセスマーケティングなストーリー仕立てと、その中でもキーパーソンであるJY.PARKの絶妙なフィードバックの2点によって、視聴する女性達はそれを自分事化するようになったのではないでしょうか。そして、女性の心の中に深く、深く刻み込まれていったのです。そして、紅白歌合戦という日本最高の舞台へ上がる。まさに一つの映画です。プリンセスストーリーです。これこそが、NiziUの現段階の成功要因ではないでしょうか?あのインフルエンサーの田端信太郎さんもJY.PARKの絶妙なフィードバックには注目しています。

 


5. 女性の心をつかみ、ブームに乗ったが・・

 これまで述べてきたように、映画のようなプリンセスストーリーで多くの女性の心を掴み、ファン層を築き上げ、一つのブランドとして成功しました。しかし、人の心というのは、その時の感動が徐々に薄れていくものです。ここで重要になってくるのが冒頭でお話した内容です。つまり、市場でのカテゴリーという面ではTWICEの2番手といわざるを得ませんし、一番手になる新しいカテゴリーを作ったわけでもないですし、JY.PARKのライン拡張であるに過ぎないという面から考えると、来年からの本格的な活動においては、市場におけるUnique selling propositionを明確にしなければ、人気は持続しないものと予測します。(特に韓国内で活動するのであれば、日本人メンバーだけのKPOPという売りだと、すぐ飽きられると思います。)

 因みに、NiziUは現在(→21年1月25日)、緊急事態宣言下の中、韓国へ飛び立ったそうです。韓国国内での活躍やいかに?そもそも、ニジューのメンバーは韓国語はどれくらいできるのでしょうね?いろいろと気になる所です。本格的に韓国アイドルとの競争に向かうのですが、上記のようなブランドストーリーは韓国では余り知られていないので、ダンスと歌での実力勝負になるでしょう。

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