日韓の狭間から見えるビジネスの相異

 私は現在、韓国の某大手企業グループの本社で働いている。マーケティングを担当しており、その対象は日本市場である。従って、日本と韓国を行き来するのが日常であった。勿論、今は、コロナは物理的な行き来をすることができない。日本に駐在という形で、日本に住んでおり、韓国本社とはインターネットで仕事をしている状況だ。コロナが一段落すれば韓国に戻ることになるだろう。

 唐突な話だが、私は韓国籍の在日コリアン4世である。在日コリアンである私がどのようないきさつで韓国大手企業の本社に入社したのかはまた別の機会に話したい。ここでは、在日コリアンである私が、日本と韓国を行き来しながら仕事をしている日常に対する戯言を延々と述べるだけの、栄養価のない文章がつづられていく。読者には申し訳ないが、そのつもりで読んでもらいたいし、読んでもらわなくても構わない。

 

 韓国の会社は、日本とはかなり違う。結論をいうと、日本は手続き重視で、韓国は結果重視だということだ。はっきり言おう。日本は仕事が遅くて非効率的だ。一方、韓国は仕事が速い。しかし、荒い。どちらが優れているのかというのは判断できない。日本は仕事が遅い分、手続きを徹底するので失敗が少ない。しかし、それでは新しいことができない。日本企業は延々と縮小再生産するだけだ。一方で韓国は次々と新しいものを取り入れる。新しいチャレンジをする。

 例えばと、例示するまでもない。BTSやNiziUといったKPOPの拡大や韓国ドラマの人気化、LINEの日常化と拡大、LG電子の家電製品、サムスン電子のスマートフォン、焼酎、ラーメン等、韓国発のビジネスは勢いがとまらない。日本の若者女性は、韓国の文化を規制世代へのアンチテーゼと捉え、ファッションや化粧品、そしてノベルディーグッズ等で積極的に韓国好きを公言している。(キャバ嬢で韓国語を話せる人を何人も見てきた。)このように、韓国ビジネスや文化の発展の土壌は、どうみても日本の手続き重視型の仕事では実現できなかったことであると考えられる。

 だからといって、日本の土壌を卑下するつもりはない。日本は仕事一つ一つがとても丁寧である。資料作成、メールの応対、会議の進行、名刺の交換、会食の作法まで、何から何までシステマティックに構造化されており、そのマニュアルどおりに動けば集団としての結果は完成度が高い。しかし、そのおかげでイノベーションと時間による機会費用というものを失っているという状況であると考える。

 時代は今、韓国的仕事を求めている。上記のビジネスの盛況を見れば少なくとも日本的ビジネスよりは韓国的ビジネスが優勢であることはある程度納得ができるだろう。日本発の盛況している世界的ビジネスといえばアニメーション程度であろうが、それも世界的大ヒットというほどのものでもない。

 私は、在日コリアンで、韓国企業に所属している身として、常に両国の境界線で両国を見ざるを得ない。そして、日本は、日本人が思っているほど、レベルの低い国ではないということも重々承知している。しかし、団塊の世代が思っているほど先進国ではないということも受け止めなければならない。日本がこれから発展する道は、これまでの手続き重視の仕事の有り方を抜本的に見直し、日本という国のレベルを客観的に見つめ、隣国を冷静に判断する必要がある。朝鮮人云々としていた時代は終わった。日本人が世界から笑いものにされる日が来るかもしれない。危機感を持って、自己変革をしないことには、この国は延々と縮小再生産するのみだ。